スローネットは新サイトに移行いたしました。今すぐアクセス

  • サークル名:原風景を歩く(O.C.)


    ■丘に建つ民家のたたずまい

     水を張りはじめた田の向こうから棚田がはじまり、小高い丘にはキンポウゲが真っ盛りです。
     キンポウゲの花畑に身を沈めると、むせ返るような春の香りに包まれ、黄色い花の隙間から丘を見上げると、生垣と長屋門の内に大和らしい茅葺民家がたたずんでいます。
     畦道を抜け石垣にそって細道を上ると、茅葺屋根を見下ろす高台へと続いてゆきます。そこには小さな鳥居と小広い境内があり、背後には杉木立の鎮守の森がひかえています。
     芽吹き前の柿の木を透して、屋敷内の庭も茅葺屋根もよく見え、その先の斜面には白や薄紅色の花が交ざりあい、豊かな大宇陀の季節を語っています。ここは、先ほど訪れた片岡家住宅と同様、大宇陀の庄屋屋敷である笹岡家住宅です。

     片岡家や笹岡家に限らず、大宇陀の民家は小高い丘の上や山の斜面に建ち、のびやかな野や田畑を見下ろしています。狭い平地は農地として使い、住まいは農地として使えない高台に建てているのでしょうか。いえいえ、この大宇陀の風景を高台から楽しもうというのでしょうか。
     そのわけは別として、鎮守の森を背にした神社も、下の田んぼに姿を映している寺も、みな小高い丘の上に姿を見せ、それらが大宇陀の村らしい風景をつくっています。
     有名な神社仏閣ではなく、鎮守の森の小さな鳥居の影から狐が姿を表しそうな神社や、和尚さんが自転車を押しながら坂道を戻ってくる寺が、この村には似合っています。

     このような高台で生まれ、このような原っぱで遊び、やがて大人となってときおり鎮守の村祭りに参加したりして一生を送り、人生の役割を終えて村はずれの丘の墓で眠りにつく。
     私にはなかった人生が、今うらやましく感じられるのです。
     歩きつかれた午後にひととき、春の陽射しを受けながら丘の草原に腰をおろして、しばしそんな風景をながめていましょう。

    写真
    1.丘の笹岡家住宅
    2.笹岡家に向かう道
    3.片陸家に向かう道
    4.丘の民家
    5.村はずれの幸せな墓
    コメントする 2011/04/25 09:00

    原風景を歩く(O.C.)のイメージ

    原風景を歩く(O.C.)

    サークル
    パブリック
    誰でもフォロー可