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  •  東京電力は以前は「資産株」などと呼ばれたものでした。60万人を越える株主の多くが個人で、安定した配当金を目的に「長期保有」する株主が多いとみなされていたからです。

     原発事故以来、資産株は仕手株へと変貌してしまいました。現時点で信用の取り組みを見ますと、売り残超過で逆日歩が5銭付いています。もっとも過激な売り方は「東電破たん」を想定しているのでしょうし、買い方は「東電生き残りで売り方踏み上げ」を期待している、といったところのようです。日々の値動きが激しいので妙味があるわけです。

     昨日の相場で東電は続伸したのですが、その理由として政府の対策が今週中にも決まりそうだということを挙げていました。公的管理になる方向だが、株主責任(減資や破たん)は問われないようだということで「買われた」というコメントです。

     確かにそのようなことだったと思われますが、もう少し相場的に言えばこうなるでしょう。「売り方・買い方が拮抗する仕手的な動きになっていたが、今日の報道で売り方が買い戻したために株価は上がった。」

     短期のトレーディング妙味を根拠に参戦している投機的な資金の持ち主に対して、「投資の立場から」あるいは「東京電力の将来像に対する分析の観点から」といった形でコメントすることはほとんど意味を持ちません。今の東電株をトレーディングしている人たちは「十分にプロ」ですから、それぞれの相場観に基づいて売買すればそれでOK、と思われるからです。

     原発事故以降、東電を「資産株」として保有して来た個人株主の多くが東電株を売却したと思われます。そうした人たちに対してももうコメントは不要でしょう。(すでに持ち株はないのですから。)

     問題は、資産株としての東電株を売る機会を逸して未だに保有を継続している個人株主です。さらには、「金融資産のかなりの部分が東電株」といった状態の個人株主です。すでに大きな含み損を抱えていると思われますし、保有していることによる不安も大きいでしょう。

     私は原理原則といったことをよく書くのですが(やや偉そうではありますが)、株式投資の原理原則からしますと、現在の東電株には投資価値はほぼない、と結論付けるしかないと思います。理由は簡単です。

    1.今後の賠償負担を考えますと、東電はすでに債務超過になっていると見るべきである。

    2.東電が首都圏に電力を供給するという事業を継続できるのであれば、その事業は十分な利益を生み出すはず。しかし、その利益が株主に配分される確率は極めて低い。

     投資の観点からすればこうとしか言いようがないと思います。従いまして、東電株を資産株として持っていた人たちに対しては、残念ではありますが東電株は売るのが妥当です、と言わざるを得ません。

     それでも、ひょっとすると政治的に東電は救済されるかもしれない、とか、いずれ賠償も帳消しになってもとの東京電力に戻るだろう、といった想定も可能です。しかしそれは「市場原理」とか「投資の原理原則」から出て来る想定ではありません。それは原理原則からは評価しようのない見通しだということにしかなりません。

     純粋に需給から来る株価の動きという点だけ見れば、売り方の買い戻しで株価が大きく反発するということは「考えられないではありません」。従いまして、東電株をいつ売るか、という観点でしばらく静観するという手はあるかも知れません。例えば、保有東電株の半分をとりあえず売り、残りについては相場を見ながら徐々に売って行く、といった対処です。冷静な対応と言えるでしょう。

     歴史ある優良企業であった東京電力がたった一回の地震・津波で急転直下破たんの淵に転落するとは何とも恐ろしいことです。企業の経営トップの非常時に於ける意思決定と行動が株主の財産の行方を大きく左右する。恐ろしい現実です。
    コメントする 2011/05/12 01:22

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