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  •  先週は東電を取り上げて、投資という観点からは対象になりにくい状態に陥ってしまったというのが結論でした。

     では他の電力株はどうか?と考えてみます。

     結論は?不確実性がきわめて高くなった、ということになろうかと思います。

     これまでの日本の電力政策は、「送発電一体」、「地域独占」というキーワードで括ることができるでしょう。このことが東京電力を始めとする各電力会社に安定的な収益を約束し、株主には安定配当をもたらして来たわけです。

     こうした独占体質に胡坐をかいて危機管理能力を失っていた、というのが今回の東電の原発大事故の根本的な原因であると見ることができます。

     以前から電力自由化は議論されて来たのですし、独立した発電会社が自社の電力を電力会社に売る仕組みも一応はできています。(例えば、自宅の屋根に太陽光発電設備を設置して自宅の電気をまかない、余った電気を電力会社に売ること=売電、は今でも可能です。電力会社から見れば、買電です。)

     しかしそうした電力会社の買電はきわめて小規模で、電力会社がお情けでやっている、といった程度のものに留まっています。

     電力会社は国策に従順な体質ですから、発電の多様化や技術開発に対して協力的であるということですが、一方で発電と送電を同時に支配する立場からすれば、他社が作った電気を仕入れることは必ずしも電力会社の利益には貢献しませんから、積極的にはならないのです。

     原子力発電所が完全に安全に管理される保証があるのなら、日本もフランスのように電気の大半は原子力で得て効率的な電力供給体制を維持することが可能だと思います。

     しかし現状を見ればそうしたことは国民として到底受け入れられないことでしょう。

     発電をもっと多様化しなければならない、ということと、電気をもっと効率的に使うようにしなければならない、ということは、おそらく現時点で多くの国民の合意であろうと思いますし、今後さらに強い合意形成がなされて行くだろうと思います。

     発電をもっと多様化するためには、送電と発電は分離する(別の会社が事業として行う)ことが望ましいでしょうし、電気をもっと効率的に使うためには送配電の分野をもっと効率化(スマートグリッドなど)しなければなりません。

     今後どうなって行くか不透明ですが、日本の電力業界は大きく変化すると思われます。そして、そうした変化の中に多くの事業機会が生まれて来るでしょう。

     現在の電力会社はおそらく「有力な送配電会社」となって行くと思われます。電力の安定供給を考えれば地域独占の形は必ずしも悪いものではないと思われます。

     ただ、多様化する発電と効率的な配電の部分は、今の電力会社ではない多くの会社の事業として行われる方がそうとう効率的になると思われます。

     東京電力は株式投資という観点から見ればすでに論外(つまり投資の原理原則で考えることが無意味という意味)ですが、他の電力会社については、投資の原理原則から判断するべき株式であり、今後の変化を考えると不確実性が大きなものとなったと言えると思います。

     本当のところを言いますと、例えば原子力発電を放棄した(一時的かもしれませんが)中部電力をうまく使って、政府主導で送電と発電の分離のモデルケースを中部電力管内で推し進める、多様な発電を導入して発電のベストポートフォリオ構築を目指す、中部電力が送電のプロとしてそれらを管理する、トヨタのハイブリッド車を家庭の自家発電装置+蓄電器として本格的に機能させる、といったプログラムが力強く打ち出される、といったことが起きれば株式市場は将来の夢として大歓迎するでしょうが。(基本構想といったことであれば、こうしたプランを経済産業省などが持っていないはずはありません。政策として実行する、という意思決定さえできれば実現するはずなのですが。)
    コメント4件を表示する 2011/05/19 10:50

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