スローネットは新サイトに移行いたしました。今すぐアクセス



  • 株価バブル

     アメリカの新規公開(IPO)市場で、SNS(ソーシャル・ネットワーク)関連のリンクトイン株が上場後公開価格の倍を越える株価を示現するなど、アメリカ株式市場は依然として活力があることを示しています。(つまりは、そうとうに投機的な市場であるという意味です。)

     翻ってわが国を見ますと、株式市場はほとんど活気を感じることのできない市場になってしまっています。株式市場に活気らしきものがあったのは、2006年の初め頃まで、ライブドア・ショック後に新興市場株が軒並み大暴落するまでで、その後はほとんど活気を感じないとすら思えます。

     もちろん、日本株の直近の高値は市場全体としてみれば2007年の7月で、トヨタ、キャノン、三菱商事といった日本を代表する会社の株価が、PBR(株価純資産倍率)で2倍あるいはそれ以上に買われた局面でした。

     PBR2倍と言いますと、PER(株価収益率)が15倍で、ROE(自己資本利益率)が15%であれば到達する数値です。現時点で比較しますと、世界の株価はおおむねPERで10倍~15倍ほどです。日本株も予想PERで現状15倍ほどですから、世界の平均的な水準と見る事ができます。ROEはと見ますと、日本企業の場合だいたい7%くらいの水準に甘んじています。PBR=PER×ROE、ですから、日本株のPBRは1倍ほど、という計算になり、実際の数値もそんなところです。

     つまり、2007年の夏頃、日本の優良株のPBRは2倍あるいはそれ以上だったのですが、そのときに起きていたことは、日本の優良企業のROEがだいたい2桁の%あった、あるいはそうなると見られていた、ということです。

     今はと見ますと、日本企業は軒並み高収益からは程遠いという状況に陥っています。震災の影響もありますし、輸出企業にとっては円高も痛手です。今夏を見れば電力不足という足かせも無視できません。

     優良株の株価は、突き詰めればROE(自己資本利益率)さえ向上すれば上がります。優良株のROEが今の2倍になれば、株価は2倍になるはずです。

     ROEが2倍になる、というのはそれほど簡単なことではありませんが、理屈としてはROEが2倍になれば株価は2倍になっても変ではないのです。

     ただ、そういうことが起きたとしてもそれは株式市場の「活気」とはあまり関係がないだろうと私は思っています。

     おそらく株式市場の「活気」は「どれくらい投機的な資金が動き回るか?」にかかっている、と思うからです。

     株式投機と言ったりしますとけっこう反発を受けますし、株式は長期保有=投資、だ、といった論調がどうやら主流のようで、なかなか株式投機だの、株価バブルだの、とは言いにくい雰囲気があります。

     しかし私はわが国において「個人の」は株式売買はほとんど投機と位置づけて取り組むべきもの、と考えていますし、そのように言って来ています。

     もちろん株式の長期投資を否定するわけではありませんが、その位置づけは金融資産の中で大きなものにするべきではない、と思っています。

     株式売買を自分の資産運用の中でどう位置づけるかはそれぞれの個人の問題であり、それぞれの事情によって大きく異なりますので、これが正しい答えというものはないのですが、少なくとも私は株式売買=主流は投機、と位置づけています。

     仮に株式売買=投機と位置づけて話を進めますと、その際にもっとも重要なことは「株価バブルへの対処である」というのが私の基本的な考えです。

     結論を言いますと、株価バブル=バブル相場には「乗っても良いが、バブル崩壊には決して付き合ってはならない」ということです。

     そして株価バブルと考える株価水準については、以下の定量的な判断基準と定性的な判断基準を採用することにしています。

    1.株価のPBRが5倍以上である。(ある程度の純資産がある会社の場合、純資産がまだ小さい新興企業の場合はPBR10倍くらいを目処とすることもあり得る。)

    2.出来高が増加してその状態が持続すること。つまり市場で人気化して売買高の規模が大きくなるということです。

    3.マスコミなどで大いに話題になり、関連するニュースが多くなる。

    4.その会社に関してさまざまな「夢」が語られる。

     バブル相場は、だいたいにおいてその出発点では時価総額の小さな銘柄が株価が急上昇することによって時価総額が大きくなりそのことがより多くの市場参加者を巻き込むこととなってバブルの規模が急拡大する、という過程を辿ります。

     過去数年にわたって日本の株式市場ではほとんどこうしたことが起きていない、というのが私の個人的な印象です。リーマン・ショック後に「グリーン・エネルギー」といった「テーマ」で多少の活況相場はあったのですが、株価バブルを多く生み出すといったことは起きなかったようです。

     私は日本の株式市場はバブルが出て来るような状態にならない限り魅力を取り戻すことはないと思っています。そうした目で見ますと、これから数年のスパンで日本の株式市場が魅力を取り戻すかどうか?かなり懐疑的にならざるを得ません。

     ただ、ライブドア・ショックから丸5年を経て、多くの新興市場銘柄の株価がどん底にまで売られ、それらの企業収益は会社によってはそこそこ好調、ということもあって、これから数年のスパンでバブル相場が現出するかもしれない、と思わせるだけの条件は整いつつあるようには思います。

     それから、バブル相場には「テーマ」が不可欠で、アメリカの場合うらやましいことに「いまだに」ネット関連とか、ITといった分野がバブルのテーマになる力を持っています。(冒頭のリンクトイン社もネット関連=SNS関連、です。来年には、フェイスブック株が新規上場して大バブルになることでしょう。)

     日本では、このネット関連がバブルのテーマに使えないのが何とも残念です。日本のネット企業はどうしても「世界的に」なれない、と見られてしまっているからです。

     私は日本でこれから株価バブルが生成するとすれば、「エネルギー分野(電力を含む)」、「省エネルギー分野」、「資源分野」、「新しい事業分野」、などが有望ではないかと見ています。ネット分野であるとすれば、ネットの応用=金融、などがあるかもしれません。)

     バブル相場は徐々に形成されて行くものですから、進行に応じて適応して行けば良いわけですが、例えば個別銘柄で今注目しているものに住友精密株6355があります。株価はこの数ヶ月上昇して昨年の秋から2倍強になっていますが、現在のPBRは1.6倍で、私の定義による「バブル」からはまだ程遠い水準です。これから数ヶ月~1年くらいをかけてPBRが5倍くらいにまでなれば、目出度くバブル相場の到来です。

     住友精密は、比較的小型でエネルギーに関連する事業分野に属しており、新事業として三菱重工の航空機向け脚にも期待が寄せられています。

     住友精密株は半年前であれば、「収益回復を見越した割安銘柄」と表現されるだけの銘柄だったと思いますが、今は「これからのバブル相場の先兵となるかもしれない」という目で見ることができるかもしれないと思っています。

     言い忘れましたが、株式市場でバブルが生成する「根本要因」は「金余り」です。世界の資源市場、貴金属市場でこの1年ほど「バブルっぽい相場」が示現したのは、明らかにアメリカ(を始めとする世界各国)の金融緩和が「根本要因」です。

     日本の場合、日銀は最大限の金融緩和を続けていると言っているようですが、金余りがまだ力不足なのだろうと思います。余った金の多くが海外に出てしまっている、という言い方があるいはできるのかもしれませんが、いずれにしましても現時点では株式市場でバブルを作るだけの十分な金余り状況ではない、ということでしょう。

     しかしながら、日本は資金不足の状態か?と言えばそうでもありません。かなり潤沢な資金が日本には存在するというのが事実でしょう。その一部が株式市場に向かえば株価は上がるでしょうし、特定の銘柄群に集中すれば株価バブル相場が示現するでしょう。

     当面は、買いポジションを大きくするような情勢ではないと思いますが、市場のどこかでバブルの足音が聞こえないかどうか?注視しておくと楽しいと思います。
    コメントする 2011/05/22 02:59

    株式あれやこれや 株の談話室のイメージ

    株式あれやこれや 株の談話室

    サークル
    オフィシャル
    誰でもフォロー可