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  • モデレータの目(2011/11/27)

    ○どのバブル崩壊?
     11月相場はあと3営業日を残していますから、11月相場の振り返りは今週水曜日の月末相場を見てからにするとして、現時点で日経平均は8160円ですから、10月末の水準8988円から約9%の下落となっています。1ヶ月で日経平均が10%近く下落するというのは結構規模の大きい下落相場です。欧州問題、米国の景気先行き懸念、円高、等々の悪材料からしますと相場の軟調は理解できるのですが、この11月に一月で日経平均が10%も下がる、というのは何とも不思議な感じを持たざるを得ないところです。

     すでに市場全体のPBR(株価純資産倍率)は1倍を大きく下回っています。日本の株式市場は全体として「会社を解散して残余財産を株主に返してもらう方がマシ」と言われているようなものです。

     直近の相場低迷もそうですが、もっと驚くのは日経平均の現行水準はともかくとして、トピックスが過去22年間の最安値圏に下落していることです。現時点でトピックスは700ポイントをわずかに上回る水準ですが、この水準は「バブル崩壊後の最安値」水準です。

     バブル崩壊後の最安値と言っても「どのバブル」なのか解説が要るほど遠い昔のバブルです。1990年初から始まった「日本の資産バブル相場の崩壊後の再安値」という説明が必要で、多くの日本人にとってすでに記憶にない、と書き添えなければならないような昔の話です。

     そのはるか昔のバブル期から計算しての最安値に今いる、というのは何とも不思議な話です。

     日本の資産バブルの時代と言えば、携帯電話も薄型テレビもインターネットもスマートフォンもなかった(かまだまったく普及していなかった)頃です。世の中はすっかり変わって、総じて言えば進化しました。生産性の向上のための「道具立て」は圧倒的に優れたものになっています。

     その進化・向上を企業が取り入れて、資本効率の向上を達成していたなら、株価が22年もの歳月を経て新安値に落ち込むなどということは、とうてい考えられません。しかし、その信じられないような事態が目の前で起きているのが日本の現実なのです。

     株式売買によって利益を得る手法にはさまざまなものがありますから、ひとつの論理で語ることは適当ではありませんが、利益を求めて資本を投じるというロジックに対して企業が資本効率を上げることが不可欠ということは否定できないことです。

     上がろうが下がろうが株価変動の中から収益を上げるから別にかまわないという市場参加者であっても、企業(株式会社)が資本効率を考えないとすれば市場における行動が成り立つかどうか?おぼつかないものになってしまうでしょう。

     日本株がバブル崩壊後の新安値圏にまで下落している、というのは何か重大な欠陥が日本の株式市場にはある、ということを意識せざるを得ない出来事です。

     日本は資本主義の国であるべきでない、という考え方もあるのでしょうが、経済においては資本主義、政治においては民主主義を基礎に置くのが現時点ではもっとも現実的な選択であるとすれば、日本の株式市場がこれだけ低迷することは由々しい問題です。

     きわめて厳しい情勢なのですが、私は個人的には日本の株式市場の欠陥はたったひとつだ、と思っています。国の根本だの、社会のあるべき姿だの、といった難しいことを議論した上で判断するようなものではない、と思っています。

     そのひとつ、とは「経営者支配の弊害」です。

    ○資本効率の低さをもたらす「経営者支配」の弊害
     要するにROE(を高めるのに「経営者支配」が障害になっている、ということです。最近の例を挙げれば、元会長が子会社から100億円もの金を勝手に借りた大王製紙の問題は(創業家の)元会長などの経営者に問題があった、ということです。100億円もの資金を無駄遣いさせられたら資本効率など上がるはずはありません。

     オリンパスの例ではせっかく優れた技術を製品を持って高シェアを市場で獲得して稼いでも、過去の財テクの損を埋め続けるのではROEは上がりません。過去の財テクの失敗を20年も隠し続ける必要がなぜあったのか?経営者が自分たちの失敗を「穏便に解決する」ため、でした。

     日本企業の平均的なROEは10%にはるかに満たない水準です。(現時点で平均PERは15倍ほど、PBRは0.9倍ですから、0.9÷15=0.06=6%、です。

     このROEが20%に向上したとします。そうしますと、PBR=ROE×PER、ですから、PERを15倍とすれば、PBRは3倍となって、株価は市場平均で今の3倍になる計算です。国の経済が成長性をすでに喪失しているからPERはせいぜい10倍、という計算でも、PBRは2倍になって株価は今の2倍です。

     要するに日本の経営者は「資本効率を向上させることが自分たちの役目だ」ということを意識的にか無意識にか知りませんが、考えなければならないと思っていない、あるいは思わされていないのです。思っていないのだから資本効率向上に向けた努力をするはずはありません。ROEはその期その期の「結果」であって、自分たちが責任を負うべき指標ではないのです。)

     日本企業の「主権者」は株主ではなく従業員、経営者(特に経営トップ)は、主権者たる従業員の中から選ばれた「正当な」支配者、という認識で、株式会社の経営を株主の利益を無視したものにしてしまう、というやり方をして来た結果が、今の株価水準だ、ということでしょう。

     昔の日本経済は伸び盛りの子供のような成長力を持っていましたから、会社の経営がどうあろうと経済の成長とともに会社の利益は伸び、「結果として」ROEを高くすることができましたから、経営者支配の弊害などは表面化しなかったのですが、低成長の今となってはその弊害は隠しようがありません。

     実のところ、日本の株価低迷の原因として「株式需給の悪さをもたらす株主構成」などの市場の側の要因を挙げるべきではと思ったのですが、例えば日本の個人は株式投資に熱心でないのですが、その原因は根本的に言えば株式に投資しても良いことはない、と思っているからで、良いことがない原因は日本の株式会社は経営者支配の弊害で株主になっても利益の分け前の与ることができそうもない、と思っているから、ということかもしれません。

     とすれば、市場要因で起きている「需給悪」の原因はそもそも企業の収益が低いこと、株式会社の経営が株主利益を無視してなされる恐れが強いこと、にある、ということになります。株式会社の経営が株主利益を重視したものになれば、株主になることは利益だとなって自然に株式保有は増える道理でしょう。こういう風に考えて、あえて市場側の要因は挙げませんでした。

     しかし、日本の会社の経営者支配の弊害は根深いものがあると思わざるを得ません。日本の経営風土がそう簡単に変わるとは思えず、株価の低迷がさらに深刻化する恐れすらある、と言わざるを得ません。その行き着くところは何か?おそらく、日本人以外に勢力による日本企業の資本支配、であろうと私は思っています。多くの日本人が株式にそっぽを向くのであれば、買い手は日本人以外しかないからです。すでに日本の上場株式の3分の1弱が海外株主の手に渡っていますが、この傾向がさらに大きくなるということです。そしてその後に起きることは?日本的な経営が否定されて日本人経営者が放逐されること、でしょう。

     ただ、欧米ともに経済・金融の混乱状態にありますので、日本株が日本人以外の手に渡るペースがそんなに速いわけでもない点は幸運なところです。私はむしろ日本の資本が海外の事業(具体的には企業体や資源利権)を手に入れて日本経済(つまりは日本国民)のために利益をあげてくれるようになることを期待しています。食うか食われるかの世界で、せめて日本を代表する企業には食う側になってほしい、それが廻り廻って日本人の生活水準の維持向上に役立つから、というわけです。

     そればかりではありません。カジノで100億円するような日本人もいますが、ほとんどの日本人は世界の模範になるような質実な暮らしをしています。そうした日本人の資金が世界の多くの資本を握ることは実は世界経済に恩恵をもたらす、と思いますね。
    コメントする 2011/11/27 04:12

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