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  • モデレータの目(2011年12月11日)

     一昨日、昨日と欧州では首脳会合が開かれて、欧州金融危機への対処行動が決まったわけですが、市場の安定と回復という観点からしますと物足らないものに終わったようです。

     財政規律を確保するための新しい条約に(イギリスを除く)欧州各国が同意したというのは(ドイツ流なら)大きな進歩であったのでしょう。しかし、欧州共同債の発行やECBによるイタリアなどの国債の買い入れ増加はECB総裁によって明確に否定されてしまいました。

     欧州金融危機が「流動性危機(銀行が資金調達難に陥ってシステムが崩壊する危機)」だとしますと、リスクはほとんど解消していないことになってしまいます。

     将来欧州各国が財政規律を守るから今資金を貸して、と言ってもほとんど効果はないでしょう。(無関係とは言いませんが。)欧州各国の銀行が資本不足に陥っていることは確実ですから、これからも資金調達に苦労することが続くとしか言いようがありません。

     とはいえ、一定の進展があったことは一方で確かなことでしょうから、週明けの世界株式市場には多少の明るさが戻るのかもしれません。(週末のNY市場、欧州市場で株価は上がっています。おそらくは売り方の買い戻しによって。)

     日本株も多少は戻るのではないでしょうか。テクニカル指標面からしますと、年末にかけてといった位の時間的スパンで反騰局面があっても不思議はないという気はします。

     しかしながら、日経平均で見て今年末の水準はせいぜい9000円内外といったところではないかと思います。年初の日経平均は1万229円だったわけですから、今年は10%以上の下落の年になりそうだということです。

     1年で株価指数が10%を越える下落というのは、けっこう大きな変化です。震災、円高、タイの洪水などによって企業収益がダメージを受けたことが大きかったと言わざるを得ませんが、一方で欧州危機の影響で海外の投資家が日本株を売ったことによる需給面のマイナスも大きかったと思われます。

     日本株の需給問題はもう20年来の大欠陥です。株式というリスク資産を保有する投資家層の手薄さ、という問題がまったく片付いていないのです。貯蓄から投資へといったスローガンのもとに、国策としての株式投資振興策があれこれ打たれて来てはいるのですが、笛吹けど踊らずというのがこれまでの実態です。

     こうした傾向は多分これからも続くのでしょう。いくら日本株が割安であると言っても、買う投資家がいないのであれば如何ともしがたい話です。

     オリンパス事件に見られるように、日本の(従業員から出世して地位を得た)サラリーマン経営者が、株主・投資家の本来の利益に忠誠を尽くすとはなかなか考え難いことです。

     海外の投資家は、日本の企業統治において社外取締役の欠如が問題であると指摘することが多いようですが、オリンパスには社外取締役が3名もいた、ということを見れば明らかなように、日本の企業統治が株主の利益に適っていないのは、社外取締役がどうのこうのと言うような制度や仕組みのせいではありません。

     オリンパスの第三者委員会はいみじくも「悪い意味のサラリーマン根性の集大成」が今回の事件の本質である、と報告しているのですが、良い意味のサラリーマン根性が発揮される会社でも株主の利益はパッとしないのですから、困った話です。

     とはいえ、日本経済の力が決定的に落ちたわけではありませんし、日本企業の優位もそれなりに保たれています。欧州金融危機から一番遠いところに居る、ということも確かです。過度の悲観に陥ることはないのでしょうね。
    コメントする 2011/12/11 08:21

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