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  • モデレータの目(2011/12/25)

     今年も相場はあと一週間を残すのみとなりました。今週の5営業日はおそらく穏やかな相場となりそうで、先週のNY株等海外の株高を考えれば多少値上がりするといったものとなる可能性が強いでしょう。

     とはいえ、日経平均はせいぜい8500円を少し上回る程度で今年を終えそうです。年初の水準は10200円ほどだったわけですから、この1年で20%弱の値下がりであったことになります。

     先進国の株価は、アメリカ株は何とか今でも年初の水準を保っているものの、他の国々を見れば今年は年間騰落がマイナスとなっており、日本の株式相場だけが不振だったわけではありません。

     少し長い目で循環と見れば、2007年、2008年のサブプライムショック、リーマンショックによる世界経済の混乱⇒株価大幅下落、の後、財政支出の拡大と金融緩和措置によって、2009年、2010年と株価回復したものの、今年2011年には息切れしてしまった、という流れなのでしょう。

     グローバルに見れば、今年は南欧の財政問題が欧州金融危機・通過ユーロ危機に深化した年でした。新興国では経済の拡大傾向は継続したのですが、年後半には欧州危機に関連して資金流出(資本流出)という厄介な問題が起こりました。

     国内を見ますと、3月の東日本大震災、継続的な円高・ドル安・ユーロ安・新興国通貨安、秋のタイの大洪水、等々、日本経済と日本企業にとっては大逆風とも言える事態が続きました。加えて、オリンパス、大王製紙などにおいて日本企業の企業統治の質を疑わせるような事件が相次ぎ、これもまた株式相場にとっては大逆風となってしまいました。

     株価は年初こそ上昇したものの、春以降は総じて不振だったわけですが、マクロ経済については今年はやや特殊要因が多かった、という点、ミクロの企業収益を見ますと、災害や円高があった割には健闘した、と言えるように思います。株価の低迷は経済や企業収益の状況以上に、需給に左右されたと見ておくべきではないかという気がします。

     10年前には日本でも金融危機(寸前)といったことがありました。公的資金の投入や金融の量的緩和措置でそれらを潜り抜け、小泉改革によって経済の体質を変えよう、としたことがあったわけです。それに呼応して、日本株を外国人が大量に買うという動きが2005年以降数年続きました。

     自由な市場においては、投資家がどんな国籍であろうと関係ないわけですが、いくらグローバルになったとはいえ国という境はあるわけで、同じ日本株を買うにしても外国人が買うのと日本人が買うのでは違ったことが起こります。どの国の投資家も多かれ少なかれ「自国資産に対するバイアス(歪)」を持っています。いざとなれば自国資産を優先する、ということが起きるものなのです。

     今年について言えば、とくに欧州の投資家は欧州金融危機(懸念)もあって、海外への投資資金を大量に自国に引き揚げたでしょう。欧州の株主が日本株を売って資金を回収した(せざるを得なかった)ということは現実に起きたことです。

     過去10年以上に亘って外国人の買いによって支えられて来た株価が外国人の買いの現象・売りの増加によって不振となってしまったのは致し方ないことだったでしょう。

     欧州の危機懸念はまだまだ続くと予想されます。これまでよりももっと深刻な事態に(少なくとも市場が)陥る恐れすらあるでしょう。となれば、欧州勢の日本株売りはまだ終わらないと言えそうです。とはいえ、売りが出ればその出た分だけこれからの売りは少なくなる道理ですから、売り圧力という点では徐々に緩和して行くというのが妥当な想定でしょう。

     海外勢の売りが細っても、国内勢の買いが増える見込みがほとんどない、というが残念ではあるのですが、株価が下がれば個人の自然発生的な買いも出て来るでしょうし、株式需給については来年は今年よりはマシ、という年になるのだろうと思います。

     日本の輸出企業を苦しめて来た円高についても、水準と変動が今年の秋以降は落ち着いて来たことから見て想像できるように、際限のない円高ということは起きないのだろうと思われます。各国間のインフレ率較差を考えますと、これからは円安になると断言できるわけではありませんが、円レートの動きが日本企業の収益に決定的なダメージを与えるといったことはあまり考えなくてもよくなるのでしょう。

     今年の株価の下げを見ますと、来年は相場回復の年となると予想する、あるいは期待することができそうに思うのですが、一方ではけっこう深刻な問題もあります。

     ひとつは財政赤字の問題です。日本の財政は大きな赤字体質を抱えたままです。幸いなことに国際収支が黒字を維持していますので、財政赤字が金利の上昇とか資金調達に支障をもたらすといったことが起きていません(ギリシャのようには今のところならないで済んでいる、ということです)が、円高で国際収支は悪化しつつあり、この状態が保てるかどうか、そんなに楽観はできないでしょう。

     日本の国際収支が悪化すれば、どこかで円安⇒金利上昇⇒国債消化懸念、が起きる恐れは十分にあります。そうした事態にならないように政府がさまざまな経済要因をうまくコントロールできるかどうか?ひょっとすると、来年のどこかでこうした能力が試される局面が来るかもしれません。

     考えてみれば、今の日本であればこうした懸念の払拭は簡単で、国会議員の定数削減、公務員の給与削減、などと引きかえに早急に増税(消費税増税+高額所得者に対する所得税率引き上げなど)を実現し、一方で国内雇用維持と競争力強化のために法人税を減税する、新規事業立ち上げのための施策を講じる、といったことをすれば、少なくとも市場が先行きの日本財政破綻を想定する(期待する?)度合いは減少し、結果として円暴落、金利急騰といった「市場の反応」は起きなくなります。

     そういう状況に現在の政権が持って行けるかどうか?確率は五分五分よりは悪いでしょうね。

     相場対処とすれば、今シーズンもとりあえずは「11月に買って翌年の5月に売る」といった数ヶ月スパンのトレーディング戦術は機能しそうな情勢です。将来を見据えれば、金融資産の一部を国内株式にしておく価値は大きいと思うのですが、現状ではいわゆる「バイ・アンド・ホールド(保有し続ける)」銘柄がなかなか見つからないというのが現実です。まだ当面は期限の設定はともかくとして「トレーディング戦術に多くを頼る」という基本方針でいる方が無難なのかもしれません。(何しろ株価水準が低いものですから、結果としてバイ・アンド・ホールドが報われる銘柄が増えているだろう、とは言えるのでしょうが。)
    コメントする 2011/12/25 12:19

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