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  • モデレータの目(2012/5/20)

     南欧の財政基盤の弱い国々をまとめてPIGSとかPIIGSと言い出したのは、どこかの証券会社(投資銀行)で、2008年のリーマンショック以降のことでした。PIGSでもPIIGSでも連想させるのは「豚」で、意味合いとしては「(どうしようもない)豚国家」というものですから、けして尊敬の念を込めた表現ではありません。(現に金融機関の中には社内でこの表現を使わないようにしているところもあるそうです。)

     「PIGS」は当初は以下の4カ国の頭文字を取って名づけられたものです。

     P:ポルトガル
     I:イタリア
     G:ギリシャ
     S:スペイン

     この4カ国に加えて、アイルランドも頭文字が「I」で財政破綻寸前(その後実際に破綻)でしたので、「I」を一文字加えて「PIIGS」と言われるようになった、そういう経緯のようです。

     これらの国々の中で、イタリアは実のところプライマリーバランスなどから見て「まし」で、財政破綻寸前などとするのはおかしい、ということで、2010年の初め頃からは又「PIIGS」ではなく、「PIGS」とされることが多くなったとも言われています。PIGS⇒PIIGS⇒PIGS、と変遷して来たというわけです。

     PIGSにせよ、PIIGSにせよ、いずれも「ユーロ圏内の国々」なのですが、ヨーロッパの国々の中には、ユーロ圏には入っていないが、財政破綻懸念あり(あるいは実際に破綻)とい国々が多数あります。

     ウクライナ、ルーマニア、ハンガリー、エストニア、ラトビア、リトアニア、あるいはアイスランド、などの国々です。

     ウクライナなどは「旧共産国」ですから、ある意味ヨーロッパではない(なかった)とも言えるのですが、アイスランド(通貨はアイスランドクローナ)は小国(GDP規模は日本円で約1.5兆円)とは言え立派なヨーロピアンでしょう。

     アイスランドもリーマンショック後に破綻していまして、銀行への公的資金の注入、IMFの支援のもとに再建中です。アイスランドの頭文字はもちろん「I」です。

     イタリアが抜けてPIGSになったPIIGSですが、アイスランドを加えますとやはりPIIGSがふさわしい名称、と言えなくもないということのようです。

     経済、財政の基盤が弱いという国々である「PIIGS」ですが、財政破綻ということの外に「投機筋の売り攻撃を受けた」という面から見ることも興味深いところです。

     で、そのPIIGSですが、現状はどうか?と見ますと、おおむね以下のようになっています。

     P(ポルトガル):トロイカ(欧州委員会、欧州中央銀行ECB、国際通貨基金IMF、の三者)の監視下で再建中。国際金融市場への復帰が来年には叶うか、といったところだそうです。投機筋からしますと、すでに過去の標的で経済規模も小さいのであまり関心なし、といったところでしょう。

     I(アイルランド):すでに崩壊済み。投機筋から見れば興味なし、の存在でしょう。同国の経済は立ち直りつつある、との報道も多く見られます。

     I(アイスランド):同じくすでに崩壊済み。投機筋から見れば興味なし、でしょう。小国ですし、案外立ち直りは早いのかもしれませんね。

     G(ギリシャ):崩壊寸前の状態。投機筋が今徹底的に攻撃しているところ、でしょう。ギリシャを倒すことでその後の「ドミノ倒し」が可能かもしれない、という意味で、小国とは言えギリシャ攻撃はきわめて重要、ということなのでしょう。

     S(スペイン):銀行の格下げ、取り付け的な資金流出、などなど、崩壊に向けて動き出している、という状態に見えますね。投機筋にとってはギリシャ以上に重要な「主戦場」となっていると思われます。

     潜在的な「I」であるイタリアは、経済ファンダメンタルから見れば大丈夫、ということなのかもしれませんが、投機筋からしますと、その規模の大きさ、などからして「大きな獲物」です。攻撃すればイタリアから大量の資金流出が起きて倒れるかもしれないぞ、という「期待」を投機筋は持っているに違いありません。

     ユーロが今後どうなるのか?欧州諸国、とりわけリーダーたるドイツがどんな対策を打って来るのか?かなり不透明な情勢ですが、冷静に見て、かつ、投機筋の攻撃によって不測の事態に陥ることだけは防ぐ、という覚悟を持つのであれば、ギリシャは崩壊(ユーロ離脱⇒ハイパーインフレ)するとしましても、破綻の連鎖がスペインやイタリアに及ぶことは阻止できるのではないか、と思われます。しかし、ドイツが巨額の負担を負うかどうか?IMFなどが十分な支援をできるかどうか?不確実性はきわめて大きいと言わざるを得ないのでしょう。

     昨日会議を終えたG8では、緊縮財政の遂行とともに経済成長策を講じることを合意した、とのことですが、具体的にどうするのか?となればことはそんなに簡単ではないでしょう。さてどうなりますか?

     日本からしますと、1997年~のアジア金融危機よりは受ける悪影響は小という気がするのですが、日本株の3割強は外国人の保有、日々の出来高の半分以上が外国人、という市場の状態では、欧州情勢に思い切り振り回されるのは致し方ないことになるのでしょうね。
    コメントする 2012/05/22 16:41

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