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  • コーポレートガバナンスについて

     あなたが一人で個人事業主(経営者)として果物屋を営業しているとします。夕方になって小腹が空いたので、店にあるりんごをひとつ食べてしまった。しかし、別にだれもあなたと咎めないでしょう。

     個人事業でやっている店の商品は経営者であるあなたのものですから、自分のりんごを自分で食べても何の問題もないのです。(おかみさんに怒られる、ということはあるかもしれませんが。)

     次に、あなたが果物屋を営業する会社の株主であるとします。その会社の営業店にでかけて店に陳列してあったりんごを食べてしまった、としましょう。株主は会社の持ち主だから、店の商品も株主のもの、という理屈で。

     もしそんなことをすれば、あなたはドロボーになってしまいます。

     株主は会社の持ち主ですが、個人事業主のような意味での持ち主というのとは違います。株主は法人である会社の「自己資本(株主資本)」と「税引き利益」の持ち主、という意味だからです。個人事業主のように何でもかんでもすべて自分のもの、というわけではありません。

     上場企業で典型的なのですが、ある程度の規模になった株式会社では、会社の持ち主である株主と会社の運営を行う経営者は「別のひと」になることが一般的です。一方、個人経営の会社であれば、多くの場合、経営者=株主、です。

     経営者=株主、であれば、意思決定者=経営者=株主、となりますが、経営者≠株主、という場合、会社の最終的な意思決定は株主が行う、というのが株式会社制度の基本です。(もちろん、この場合の意思決定は、日常的な経営判断という意味ではありませんが。)

     会社にはさまざまな利害関係者がいますが、株式会社制度では「株式会社の経営の最終的な決定権を株主(総会)に委ねる」という仕組みになっています。(それが形骸化しているかどうかは別問題です。)

     なぜ株式会社の最終的な意思決定を株主に委ねるのか?理由はいろいろ考えられまして、このブログでおいおいいろいろ書いてみたいと思いますが、まずはその理由を「多分そういうやり方が一番合理的で、実利も大きいから」ということだけ指摘しておきます。

     まだそんなに一般的な言葉にはなっていないかもしれませんが、こうした株式会社の統治に関することがらを「コーポレートガバナンス」と呼びます。

     この用語を用いるとすれば、「株式会社のコーポレートガバナンスは株主が主として担うことが一番合理的で実利が大きい」ということになります。(日本の制度はもちろんそのようになっています。)

     株主は会社の「自己資本」と「税引き利益」の『持ち主』ですから、会社の自己資本と税引き利益が持続的に大きくなって行くことを望みます。(値動きだけに興味を持つトレーディングをやっているだけ、という株主は違うかもしれませんが。)

     つまり、「株式会社の制度では、会社の自己資本と税引き利益が大きくなることを望む株主が、コーポレートガバナンスを担うのが良い」と言っているわけです。

     こうした「コーポレートガバナンスの基本観」は、世界共通のものです。経済開発協力機構(OECD)の「コーポレートガバナンス原則」でも、東証の「上場会社コーポレートガバナンス原則」でも(表現は多少違いますが)同じ立場を取っています。

     上場会社の株主の多くは、株式市場で株式を売買した結果としてその会社の株主になっています。株主の中には極端な場合、その会社に何の興味も持たない、ただ株価の動きのみに目を向けただけ、といった人もいます。

     そうした人たちも含めて、コーポレートガバナンスを最終的に株主に委ねることが良い、と言うのは不思議な気のするひとも多いかもしれません。

     しかし、会社の内容に興味を持たないトレーダーたちも「市場での売買」ということからしますと、売買される株式は市場の中を転々とするだけで市場から見れば、いつも保有しているのと同じです。

     つまり、市場で売買される株式は「市場が保有している」と見れば、「市場という株主」は安定しているのです。

     そして、面白いことに、「市場という株主は『総意』として、会社の自己資本と税引き利益が増えることを望んでいる」のです。(それらの見通しが株価に反映する、という意味です。)

     (上場)会社のコーポレートガバナンスは株主(総会)が担うことがもっとも合理的で実利に適う、という立場は受け入れるべきものでしょう。
    コメントする 2012/07/16 11:26

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