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  • モデレータの目(2012/9/9)

     9月は特に前半に多くの材料が想定されていたわけですが、先週その中の二つほど、「欧州中央銀行の理事会決定」と「米8月雇用統計」を通過しました。

     先週の欧州中央銀行理事会決定については、「要請があれば欧州中央銀行が国債を無制限に購入する」という決定があり(理事会の中でドイツ中央銀行の委員はただ一人反対)、ポジティブなサプライズとして市場に受け止められたようです。欧米株価は急反発、ユーロは上昇(対円で100円台回復)が市場の反応でした。

     米雇用統計については、「予想を少し下回る」結果でしたが、それが「金融緩和期待」に結びついたということで、米株価は若干の続伸で金曜日の相場を終えています。

     日本株については、先週は「中国経済低迷を受けた下落」⇒「欧州中央銀行の決定を受けた急反発」の推移でした。

     今週以降は「12日~13日の米連邦公開市場委員会における追加緩和(QE3)の有無」、「12日のドイツ連邦憲法裁判所の欧州金融安定メカニズム(ESM)に対する判断」などが大きな材料として意識されるでしょう。

     それぞれの材料に対して売り方・買い方の思惑とポジションが形成されて、相場変動という結果が出て来るということになるわけですが、QE3については9月実施ではなく、実施する用意があるといったスタンスを示して先延ばしにする(市場の期待をつなぐ)という形になるのではないか、という気はします。ドイツ裁判所の判断は、これまでのドイツの態度を見る限り前向きのものなはならないような気はしますが、欧州の政治情勢からすればそろそろドイツは妥協すべき時期という気もします。どうなりますか・・

     波乱の9月などと言われるそうですが、株式相場の変動を引き起こす「材料」が多いということなのでしょう。底流にある状況も特に日本株の観点から見ますと複雑で将来を想定しにくいものとなっています。日本株の水準を決めるだろう、と思える順番に書いてみますと以下のような事柄が重要度が高そうです。

    1)日本企業の業績見通し
     株価にもっとも強い影響を与えるのは(当然のことですが)企業業績です。円高の影響、エレクトロニクス産業の競争力低下、資源価格上昇などの影響を受けて日本企業の業績の先行きがかなり怪しくなっています。加えて中国経済の低迷がはっきりしてきており、素材メーカー、海運、中国依存の高い機械メーカーなどの株価が下落しています。

     アメリカ企業が、フェイスブックのような新しい企業の躍進と、アップルのような世界市場を制覇する企業の貢献、によってけっこう収益をあげているのに、日本はまさに正反対の状況に陥っている、と言えます。

     日本も内需は何とか堅調ですし、自動車が典型ですが、今のところ国際競争力を保っている産業もありますので、これで多少円安傾向になれば企業業績の悪化は緩和されると思われますが、今のままですと企業業績は下方修正、株価水準は上昇が難しいということになりかねません。

     景気敏感株(特に中国依存の高い企業の株)については慎重姿勢を継続し、株式の買い持ち規模は多少控えめにする、市場の変動(例えば株価指数先物などの変動)を活用するトレーディングを多少重視する、といった対応が望ましいのでしょう。

    2)米景気と金融政策
     アメリカは企業業績が(ドル安もあって)好調なので、例えばNYダウもリーマンショック前の水準をクリア、となっているわけですが、この株価水準から、となりますと、景気の先行きと金融政策の綱引きが決定的、と言えるようです。と言うよりも、ここからはかなり強力な「金融緩和政策」が打ち出されないと上には行きにくい、という状況なのでしょう。

     例えばQE3が実施されるとなれば株価は上伸する(売り方が買い戻すから)でしょうが、金融政策そのものが株価水準を決めるということはない、わけですから、その材料はすぐに相場に織り込まれてしまうでしょう。

     QE3が先送りとなれば、株価は下がるでしょうが、企業業績の伸びの分だけ上昇した株価は損なわれるわけではない、となるでしょう。

     アメリカ株は当面高値圏での往来相場⇒日本株の短期的な変動を増幅する要因となる、といった見方で良いのではないかという気がしています。

    3)欧州金融危機
     先週の欧州中央銀行による国債無制限購入が典型的な政策となるのですが、欧州は要するに「問題先送り」を続けるつもり、ということなのでしょう。(現実的にそれ以外のやり様がないのでしょう。)

     北(ドイツ、オランダ、北欧など)と南(スペイン、イタリアなど)の対立はそのまま、と言うことで、これからも株式相場、為替相場の「波乱要因」であり続ける、ということなのでしょう。

     問題先送りを続けるということは、「いずれ」危機的な状況に陥る恐れが消えない(投機筋がそうなるように動く)ということでもあります。とはいえ、当面を見ればユーロ相場の下落が止まり安定したように見えるようになるでしょうから、日本経済と日本株市場にとっては助かる話です。
    コメントする 2012/09/09 11:19

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