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  • モデレータの目(2012/10/8)

     経済かうまく成長している間は「市場経済の仕組みをうまく活用している」と言ってもらえるのでしょうが、歯車の回転が狂えば「国有企業主導の無理な投資による生産過剰という歪」となるのが中国「リスク」だというのは先刻承知のはず(だった)なのですが、現実になってみれば深刻です。

     日本と日本経済から見ますと、この中国リスクに加えて「地政学的リスク」が思い切り大きく加わってしまった、というのが現状ですから、先行きの不透明さからしますと、何とも厄介な話です。

     かすかな希望は、「アメリカ経済(の内の不動産部門が特に)確りし始めたこと」、「日銀の金融政策に多少の余裕があること(つまり足元の日本国の通貨が売られていないこと)」でしょうか。

     チャイナリスクにうまく対処して(つまりは想定される損害の規模を極小化する対策を講じて)、アメリカとのビジネスを進めて、日銀の金融緩和のメリットを活用して、「期待収益率を引き上げる」という「実を挙げる」企業があれば、その企業はまずは安泰、となるのですが、何重もの意味で達成は難しいと言わざるを得ません。

     チャイナリスクへの対処のひとつとして、東南アジア諸国への展開があるわけですが、すぐに「転進」できる企業はよほど余裕のある企業でしょう。社運を賭けて中国に進出、といった企業も多いでしょうから、現時点で有効な対策をと言っても選択肢は限られます。何とか中国とうまく折り合って行く、くらいしか「解」がないでしょう。

     日本企業全体として見れば、チャイナリスクの規模の引き下げは十分に可能だろうと思います。しかし、時間が数年レベルで掛かるでしょうね。

     アメリカ経済の回復で、例えば具体的には自動車の対米輸出が好調といったことがあります。自動車は今のところ日本企業が国際競争力を維持していますので、状況が好転すれば伸びる、といったことが可能になっているわけです。

     当面ということであれば、自動車(関連)企業が日本経済を引っ張ることを期待するというのが現実的なのかもしれません。

     日銀の金融政策に余裕と言いましても、金利を下げるとか市場に資金を供給する、といった伝統的な金融緩和はすでに限界、というのが一致した見方でしょう。金利はすでにゼロなのですから、引き下げようがありません。(一部にマイナス金利導入論、などがあるようですが、スイスのような小規模の経済の国なら知らず、日本規模の経済では大冒険になってしまうでしょうから、現実味はないでしょうね。)

     アメリカの金融政策が典型ですが、表向きはどうであれ、実際には「資産価格を支える⇒上昇させる」という目的を持って金融政策が実施されています。QE1、QE2では、株価という資産価格の引き上げに成功したわけですし、今回のQE3では不動産価格の引き上げを目指しています。(おそらく成功するでしょう。)

     もちろん、アメリカという国は自国通貨が「世界の基軸通貨」ですから、米ドル安になってもほとんど痛みがなく、金融政策の自由度が他国よりも大きいという有利さはあるのですが、インフレを恐れずに非伝統的な金融政策を実行した(している)というのは大したものです。

     大したもの、と書いたのですが、これは説明のいる話でして、「どういう人たちにとって大したもの」なのか?を、実ははっきりさせておかないといけないのです。

     「市場資本主義を前提としてグローバルな経済活動を展開して(適正な)利益を得ようとする人たち」にとっては、「大したもの」と評価すべき政策、と書けば良いでしょうか。もちろんこうした人たちの「利益」とは株式会社(経済活動の主体)の税引き後利益率の向上(自己資本利益率=ROEの向上)という意味です。

     日本経済ももちろん「市場資本主義経済」ですし、その中で経済活動している企業(の中で上場している企業の多く)はグローバル企業、ですから、アメリカと大差はないのですが、日本社会の「雰囲気」はまるで違ったもののように思えます。

     過去20年、日本株は不振ですが、リーマン・ショック以降の日本株の不振ぶりの中には、どうも異質なものの存在を感じます。

     異質と感じる原因が何なのか、分からないところが多いのですが、市場資本主義の否定、といったものが関係しているように感じることも多いのです。

     市場資本主義を否定してしまうと、市場資本主義のメカニズムを通じて経済の活性化を図る政策を打ったとしても、効果が出ないことが多いのではないか、そんなことも思ったりします。

     日銀がETFを買う、REITを買う、あるいは今後であれば外債を買うかもしれない、これらはいずれも伝統的な中央銀行の金融政策とは違うでしょう。しかし、市場資本主義の仕組みからすれば、何らかの理由で機能の発揮が不十分になっている市場における価格のテコ入れ、というい意味で市場資本主義的な政策、ということになります。市場資本主義の仕組みがうまく働くなら、それによって不動産価格が適正なものに近づき、円レートの歪が緩和される、となるはずですが。

     チャイナリスクは本質的に、市場資本主義を一党独裁の共産党のトップたち(地方の権力者を含む)の利益のために利用してしまっている、もちろん人民の利益を標榜して、ことから来ている(自由主義も民主主義もない、と言い換えることもできるかもしれませんが)、と私は思うのですが、非なるものの似ているメカニズムがわが日本(経済と社会)にもあるのかもしれない、と思うこともあります。

     とはいえ、柔軟な構造を持つ日本社会と経済です。環境の悪化に対処するために日銀が今月末には金融緩和を実施するかもしれません。脱中国も事のほか早く進展するかもしれません。米国との関係も改善し、企業が適正はROEを目指して体質を改善し、市場における需給も改善して、そして何よりも円高とデフレの悪循環から脱出する気配を見せるようになるかもしれません。

     同じ経済ファンダメンタルズでも将来を明るく見るか、暗く見るかで日経平均は1000円位は(あるいはそれ以上)違うでしょう。将来を明るく見ることができるような「変化」を期待したいものだと思っています。
    コメント2件を表示する 2012/10/08 11:44

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