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  • モデレータの目(2012/12/31)

    1)2012年株式相場の概観
     2012年の株式相場はいろいろあったが振り返ればそこそこ好調の相場であったとなるでしょう。指数の年間騰落率を見てみます。

    日経平均     23%上昇
    ジャスダック平均 20%上昇
    マザーズ指数   2%上昇
    円ドル      円が11%下落

     企業業績がはっきりしない(と言うよりも株主の信頼を得られない会社が多い)銘柄が多いマザーズ市場の指数の上昇率が今ひとつではあるものの、日経平均、ジャスダックともに年間2割の上昇というのは立派なものです。

     相場の推移を振り返りますと、今年2月~3月に目立った上昇局面がありました。2月の日銀金融政策決定会合において「インフレターゲット設定」という話が市場に伝わり、それをきっかけに先物売り方の買戻し主導で日経平均は、8500円ほどから1万255円へと20%ほど上昇しました。同時に、円ドル市場では円が目立って下落しました。

     この上昇は、その後の欧州金融混乱によるユーロ安、アメリカの金融緩和によるドル安などによる円高⇒企業業績悪化懸念を主因として見事にぽしゃってしまいました。6月以降は日経平均はまた8000円台の推移で、9000円を超えると売られてしまうという展開に戻ってしまいました。

     もう一つの上昇局面が年末にかけてでした。11月の衆議院解散をきっかけにして上昇を開始し、12月には自民党大勝⇒日銀に金融緩和圧力⇒円安、という連鎖で11月上旬の日経平均8600円台から年末には1万433円にまで21%の上昇を記録しました。

     今年の2回の上昇局面は、その規模、期間ともによく似ています。上昇の原動力が売り方の買戻し(株価指数先物の売りの買戻し+円買い・ドル売りのポジション解消)だった、という事情が同じだったからでしょう。期間が似ている(いずれも2ヶ月ほど)というのもポジションの解消に掛かる期間という見方をすれば納得できる話でしょう。(上昇のカーブは年末の上昇相場の方がやや急角度です。それだけ売り方が慌てたということなのでしょう。)

     今後の株式相場ということからしますと、まずは売り方の買戻しによる上昇は一段落するとして、さてその後どうなるか?を想定する、ということが重要な局面に至ったと言えるようです。

    2)三つの信頼?
     売り方の売り崩しに会うと日経平均は8000円台に下落する、売り方が買い戻すと日経平均は1万円台に回復する、といったところが今の日本の株式市場のバランスのようです。

     ふつう株式相場を見る時には知らず知らずのうちに「買い方」の目で見ていると思われます。それが不自然というわけではありませんが、市場には「買い方」とともに「売り方」がいるわけですから、本当は両方の目で見るのが妥当なはずです。

     日本株が日経平均で8000円台に下落してしまうというのは「売り方」主導によるものでしょう。では「売り方」は「何を根拠に日本株を売る(多分同時に円を買うでしょう)のでしょうか?

     私は、売り方は日本に対して次のような「三つの信頼」をしているがゆえに、あるいは「三つの信頼」ができる時に安心して売りポジションを取ってきた、あるいは取る、のだろうと考えています。

    ひとつ目の信頼:日本政府は、経済活性化のために「何もしない」という信頼。あるいは「何をしても成果が上がらないはず」という信頼。

    ふたつ目の信頼:中央銀行である日銀は、金融政策によって何か前向きのことを「断じてしない」という信頼。

    みっつ目の信頼:日本企業の経営者は、株主の利益を「無視する(無視し続ける)」という信頼。

     この三つがそろっている限り、日本経済は浮揚するはずはありませんし、株式需給が好転するはずはありませんし、株価が上昇するはずはありませんから、「論理的に考えて」日本株は売りポジションで「正解」です。

     過去4年に亘ってこの「信頼」は揺るがなかった(でしょう)。特に民主党政権になってからは、信頼感がますます高まった、でしょう。その結果は株安・円高が十分すぎるほどの証明を与えています。

     今年の2月~3月、それに11月から12月と、上昇相場があったわけですが、その『原動力』は、上記の「信頼」のいくつかが「揺らいで」売り方が買い戻しを入れたことだった、と考えれば起きたことが非常にクリアに理解できると(私は)思います。

     2月~3月であれば、「日銀は前向きなことを断じてしない」という「信頼」が揺らいだ、ということです。また、11月~12月であれば、「政府は何もしない」という信頼が揺らいだ、同時に「日銀が何もしない」ことはないかもしれない、という疑念が売り方に生じた、ということです。

     私は、上記の三つの「信頼」が揺らぐごとに日経平均は2000円くらいずつ上昇するのではないか、と思っています。政府が「何か(もちろん有効なことを、ですが)すれば」日経平均は2000円上昇、日銀が行動すれば2000円、日本企業が株主利益を優先するようになれば2000円、といった感覚で上昇すると思っています。三つが揃えば、少なくとも日経平均は6000円上昇、8500円を基点とすれば、1万4500円くらいには上昇する(できる)と思いますね。

    3)2013年の相場想定―2005年相場の再来なるか?
     今の日本株相場では、「売り方の信頼」が失われつつあることは確か、です。しかし、今年2月~3月の上昇の後はその「信頼」が回復してしまいました。今の「信頼感の喪失」も今後回復してしまうかもしれません。(政府と日銀と企業経営者次第です。)

     株価は曲がりなりにも回復し始めています。日経平均で見れば12月で上昇は5ヶ月連続です。自民党が選挙で勝った、ということもあって、当然2013年の株式相場は、2005年の小泉首相の頃と比べられるようになるでしょう。うまくすれば、年内に日経平均が1万5千円を超える上昇もあるかもしれないといった感じですね。

     私は、上記の「売り方の信頼」をよく考えながら来年の相場を見て行こうと思っているのですが、現時点で以下のような三つの相場想定をしようと思っています。

    1)日経平均はほどなく上昇一服となって、おおむね1万円~1万1千円のゾーンで推移するようになる。(確率50%くらい。)
     つまり「売り方の信頼」のうち、日銀への信頼は失墜するが、政府と企業(がダメであることへの売り方)の信頼はそれほど失われないために、この水準で日経平均が留まる、というシナリオです

     このシナリオから脱するために、半年くらいの期間と参議院選挙の結果自民党が勝つ、という出来事が必要となる、といった感覚です。

    2)日経平均は、また下落して低迷する。(確率30%くらい。)
     「売り方の信頼」がすっかり戻る、というケースの想定です。また同じことの繰り返しでうんざりが続く、ということです。安倍政権が閣僚のスキャンダルに見舞われる、野党勢力が予想外に強い、欧州情勢が急悪化する、日米関係が今ひとつ改善しない、日銀はごまかしの協力しかしない、などとなればこの想定が的中してしまうでしょう。

    3)日経平均は、売り方の買戻しに加えて新たな買い勢力の登場によって買い進まれ、初夏には1万3千円を超える水準にまで上昇する。(確率20%くらい。)
     売り方の「信頼」が根本的に崩れる、というシナリオです。売り方と言いましても、別に日本が憎くて売っているわけではなく、日本株を売れば儲かるような状況だからそうしているに過ぎません。もし、日本株を買う方が儲かる、となれば、今度は手のひらを返したように買って来るでしょう。そうなれば、それこそ2005年相場の再来で、株価は大幅に上昇するでしょう。

     さて、以上のようなシナリオ想定で、どの程度来年の運用戦略を有効に立案できるでしょうか?戦略は常に見直しの対象です。どうなるか?大いに楽しみです。

     今年も多くの読者の方々にこのコラムをお読みいただきありがたく思っております。
     来年も皆様が健康に過ごされ余裕を持って株式運用に立ち向かわれることを心より祈念いたします。(松下律)
    コメントする 2012/12/31 18:19

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