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  • モデレータの目(2013/1/27)

     「失われた20年」といった言い方は便利なので私もよく使いますが、実のところ(以前にも時折書いていますが)この表現は実に大きな誤解をまねきかねません。

     実際、「失われた20年と言うが、具体的に『何』が失われたのか?」と考えてみますと、不思議なほど思い浮かぶものがありません。

     「日本人の生活水準?」、20年で勤労者世帯の収入が減ってはいますが、一方では物価の下落もあります。「失われた」と言うほど日本人の生活水準は下落していないでしょう。(勤労者の所得が減少したことは確かですが、これは大きくは経済のグローバル化による影響で、他の先進諸国も共通の話です。日本の失われたものという感覚とは少し違うのではないかと私は思っています。)

     「格差の拡大?」、格差の拡大とは、金持ちがますます金持ちになり、貧しい人たちがますます貧しくなることと考えてみますと、個々人の状況を見ればそうなっている人たちもいるかもしれませんが、日本社会全体として格差が大きく拡大したという証拠はないのではないかと思います。(マスコミなどが、こうした問題に以前より敏感になった、ということは あると思いますが。)

      「技術の進歩?」、日本だけが技術進歩から大きく取り残されて、例えば日本ではまだアナログテレビを使っている、などということであれば、日本は技術の面で失われた国になってしまった、となるのでしょうが、現実の日本社会はそんなことにはなっていません。むしろ、日本は今でも世界に冠たる技術先進国です。

     「技術革新への寄与?」、これは多少思い当たるところがありますね。グーグル、アップル、フェイスブック等々、アメリカでは技術革新を新しい事業(=企業)とする革新が起きて来たのに日本は・・という感覚ですね。

     いろいろな面で日本に元気がなくなったことは確かですので、失われた20年、というのは確かにそういうことなのだろうとは思うのですが、具体的に失われたもの、と考えますと、そんなに決定的に失われたものはなかったのでは?とすら思ってしまいます。

     そうした中で、「これは決定的に失われたな」と思うものが二つあります。

     それは、「土地という資産の価値」と「株式資産の価値」のふたつです。

     この他にも、「ゴルフ会員権の価値」などもありますが、これは土地の価値に付随するようなものでしょう。

      土地の価値と株価は、この「失われた20年」で確かに『決定的に』失われました。

     私の感じですが、日本の「失われた20年」の正体は実は、「土地と株価の下落」なのだろう、そんな気がします。

     土地については、1980年代の「資産バブル」の結果として高騰した地価が崩壊して、今は土地の「収益還元価値」でしか評価されなくなった、という事情を反映しています。土地という資本資産の価格を決定する『市場』が妥当なものに変化した、ということでしょう。失われた(資産価値)についてはもう諦めるしかありません。(付随して下落したゴルフ会員権で見れば理解がしやすいと思います。土地価格高騰を背景に上昇したゴルフ会員権の価格は、今は「プレーする権利」として『冷静に』価格形成されています。これがかつての「バブル価格」に戻ることはもうないでしょう。)

     株価についても、土地と同じで「資産バブル状態からの下落」が起きた、という事情があります。 20(数年前)の日本の株価は、PERが50倍、PBRが5倍、といった「バブル状態」でしたから、崩壊しても致し方ない状態だったということでしょう。

     現時点で日本の株価は、PERが15倍くらい、PBRが1倍強ですから、バブル状態からは完全に脱したと言うことができます。

     「失われた20年」で「失われたもの」は、『実は土地と株の資産価値だった』と認識したとして、さて、これからわが国が「失われた状態から脱しよう」というのであれば、何を目指すべきか?と考えてみます。

     ここからは「私個人の見解」ですが、私は「株価の回復」をほとんど唯一の『目標』にすればいいと考えています。

     土地の価格、というものは今では「収益還元価値」で基本決まります。したがって、土地の値段が上がるためには、家賃・賃料が上がらなければならないわけですが、家賃・賃料が闇雲に上がることは経済に不利益です。となれば、土地の価格の上昇はおのずと限られる、ということです。(話がちょっとずれますが、一般的なモノの値段が異常に上がることも経済に不利益です。

     これに比べて、「株価」はいくら上昇しても困るヒトはいません。唯一困るのは「空売りしていた人たち」ですが、そういう人たちは「勝手に空売りしていた」のですから、困ったところで同情する必要はありません。

     「日本の失われた20年」における『喪失感』を癒すのにもっとも効果的で経済に利益をもたらすものは『株価の回復』であり、『アベノミクス』は株価の回復を『最優先の目標』とすべきだ。これが私の期待ですね。(インフレ目標とか、円安は目標にすればさまざまな軋轢を生じるでしょう。政策の目標には本来しにくいもの、という気が私はします。異常状態から脱する、という線を越えることはできないと思いますね。)

     安倍氏のテレビ出演時の発言などを聞いていますと、安倍氏は株価に並々ならぬ意識を持っているように見えます。株価の回復を日本経済と社会の浮揚のエンジンにしよう、としているのであれば全面的に支持したいと感じます。
    コメント2件を表示する 2013/01/27 18:02

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