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講 師:小島 健
作句の心構え
俳句を作る上での心構えを述べます。私の作句信条は、自然と人間を愛し、俳句の固有性を追求することです。
現代は自然環境の崩壊が著しく、自然に対する人間の心、感受性自体が鈍くなっています。もっと自然に畏敬の念を持ち、自然に抱かれている人間、という観点から、作句したいものです。
写生の方法や旅も自然に親しみ、自然観察が深くなります。その地の歴史、住民の思いを胸に自然風物を詠みましょう。
山々に麓ありけり桐の花 健
さて、人間を愛することも、芸術・文芸に関わる者には、ごく普通のことだと思います。人間とは何か、なぜ生きるか、どう生きるかということが、文学の根底にはありますから。俳句には自分を、そして他人を慰め、励ましてくれる大きな力があります。それを信じてください。
裸子の尻の青あざまてまてまて 健
俳句の固有性とは、俳句は他の文芸とどこが違い、特色を持つのか、ということですね。それは、季語や5・7・5の定型、そして切字、省略、韻律(リズム)などです。
俳句は季節の詩という性格を持っています。季語は季節を凝縮、象徴しています。現在の俳句は、韻文性が失われ、散文化傾向が著しいと思います。もっと韻文精神を尊重し、実作すべきではないでしょうか。省略、韻律もこれに密接に関わり合います。
「謂応(いいおう)せて何か有(ある)」(芭蕉)。や、かな、けりなどの切字も、けっして古くありません。もっと切字の力を研究しなければならないと思います。
貝殻のうちがは白し秋のこゑ 健
最近、全体に俳句が小さくなっている気がします。自然との交感とともに、もっと「闊達な詩心」が欲しいものです。虚実のあわいの句や、人間性に根ざした笑い、諧謔などもその一つです。芭蕉は言います。「あやふき所に遊ぶ」と。
身中の虫出でゆけり日向ぼこ 健
最後に一言。「志を高く」持ち、「生きる思い」というものを、俳句で表現したいものです。でも、あまり肩に力が入ってはいけません。明るく楽しくやりましょう。
若草に置かれてくもる管楽器 健



