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- 第1回 井上弘司さん「ワーキングホリディー」
ワーキングホリディー
地域づくりの仕掛け人“観光カリスマ”
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▲ワーキングホリディーで援農に集まった人たち |
いま都市に住む中高年の間で、「田舎暮らしをしてみたい」「定年を迎えて農業をしてみたい」「都市と農村の2地域に居住してみたい」という人が増えている。
また、そうしたニーズに応えようと受け容れ側の市町村の取り組みも進んでいる。
長野県飯田市もその一つ。ここではワーキングホリディー制度やエコ・ツーリズムを実施し、都市と農村の交流を進め、注目を集めている。
その飯田の施策を先頭に立って進めるのが、“観光カリスマ”の井上弘司さんだ。
“観光カリスマ”……聞き慣れない言葉だが、これは国土交通省が従来型の個性の薄い観光地のあり方を打破し、観光地の魅力を高めるために、その振興に大きく寄与した先達を“観光カリスマ百選”として選定するもの。その第2回委員会で選定された一人が、長野県飯田市職員の井上さん。
選定理由にはこうある。
「他地域に先駆けて『無償ボランティアでのワーキングホリデー』を企画し、農作業の手伝いのお礼に農家の生活を教えるという『心と心の交流』をセールスポイントとすることにより、本当の農家の家族のように素朴で温かな田舎の生活が体験できるということで好評を博すなど、農業を素材とする新しい観光の形を示した」
どうやら、“観光”という狭い枠組を越えた、地域づくりの仕掛け人が対象となっているようだ。ここには都市をも巻きこむ21世紀の農の魅力溢れる方向が示されているようでもある。
さっそく井上さんにお話を伺ってみよう。
ワーキングホリディとは
=井上さんが“観光カリスマ”に認定されたのは、2002年のことでしたね。
そうです。はじめは“観光カリスマ”なんて恥ずかしいし、行政に携わっているものとしてもふさわしくないので、お断りしました。ただ農林水産省の方からも強く促されまして、飯田市のPRに役立てるならと結局お受けしました。
=受賞理由にもあった「ワーキングホリディー」とはどんなものなのでしょうか。
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▲ワーキングホリディー受入れのミーティング。老若男女が参加。人気のほどがうかがえる |
最近、都市に住んでいる人の中に、「田舎暮らしをしたい」、あるいは「定年帰農したい」という方がたいへん増えてきました。ここ飯田市にもそういう声が多く寄せられています。
そこで、田舎に住みたい、あるいは農業をしてみたい、そんな希望を持っている人を対象にして、まずは農家に泊まってもらい、無料で農作業をしてもらうというものです。ふつうは数日間ですが、中には1ヵ月くらい滞在する人もいます。
この無償の援農体験には年間200名くらいの人が参加しています。以前は若い人がほとんどでしたが、最近は中高年、とくに団塊世代が増えてきました。
団塊世代の人たちはどちらかというと、完全な就農は考えていないようですが、田舎暮らしに憧れているようですね。
訪問者とのマッチングシステム
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▲りんごの収穫後の試食が楽しい |
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▲レタスの収穫も体験 |
このワーキングホリディー参加者の中から、就農の道を選ぶ人や、飯田に定住する人、田舎暮らしを楽しむ人が毎年少しずつ出てきました。
ですからワーキングホリディーとは、飯田市と、そこに訪ねてくる人のマッチングのシステムでもあります。田舎暮らしをしたい、農業を始めたいという人にソフトランディングしてもらうために、ちょうどいいシステムです。
農業生活を数日間体験してもらい、気に入ってもらえれば空き家や農地を紹介するようにしています。
=村での生活の扉を開けるきっかけとして、ワーキングホリディーがあるのですね。
たしかにこの制度によって、飯田に移住する人が増えてきました。また、これからは田舎と都市の2拠点で生活をする人も多くなるのではないでしょうか。
じつはワーキングホリディーがこんなに役立つとは思っていませんでした。1998(平成10)年から始めましたが、総務省(旧自治省)の方が、このワーキングホリディ制度のよさにいち早く気づいてくれました。
井上弘司さん (全4回)
- 第1回 井上弘司さん「ワーキングホリディー」
- 第2回 井上弘司さん「農業の大転換」
- 第3回 井上弘司さん「人気のスローツーリズム」
- 第4回 井上弘司さん「農村が都市をリードする時代に」




















