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いきいき大人見聞録 画像

小木曽教彦さん (陶工)
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「スローな手作りにこだわる
それがリサイクルにもつながる」


第2回

再生 陶磁器もリサイクル

資源は有限

=小木曽さんは原材料のリサイクルにも取り組んでいますね。

 美濃焼は全国の陶磁器の約6割のシェアを占めていますが、原料となる陶土が少なくなってきています。資源は有限です。

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▲工房の柱には名鉄の廃材を利用している

 一方、陶磁器は土に自然に戻るわけではありません。ゴミの山が増えます。ですから、不要となった器の処分は、全国でも最大の生産量を誇る地元にとってはとても大きな環境課題です。そのためいま岐阜県や市では、棄てられた陶磁器のリサイクルに取り組んでいます。不要となった陶器類を回収して粉砕し、それを粘土原料に戻して再利用しようという取り組みです。

 私のほうでもいろいろ試してみましたが、回収した陶磁器を砕いて土に混ぜて作っても、ふつうのものと遜色ないものができることはわかりました。
 リサイクルの粘土を使うほうが前よりは丈夫になります。収縮率が下がり狂いが減りますから。

循環型生産に

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▲制作中のハーブティー用の茶碗

 ですから、残る課題は回収したり、混ぜるたりする費用などの問題になります。費用がかかれば当然単価があがります。

 それにリサイクルの土を工場で使用するとなると、工場設備の見直しも迫られます。設備を変えずにリサイクルの土を利用するとなると、リサイクル土を20パーセント含有させるのがよい、との結論になっています。20パーセントが、地球にも負荷がかからない熱量ですみます。工場としても、いまの量産体制を活用してやれます。

 手作りならリサイクル粘土を50パーセント、70パーセント含有にしてもできますが、工場では20パーセントが適量ということです。
 ですから「1日に10,000個もつくらんでいい」という論もありえますね。

 私は、手作りですから、50パーセント混ぜて循環型の生産にすればいいと思います。結局手作りにして、いかに付加価値を上げるか、そういう方向がいいのではないかと思っています。
 生産者の考えを変えていかないと、環境問題、リサイクル問題も根本的には改善されないのではないでしょうか。

もの作りの心と環境の問題

 リサイクル塾で、子どもにも陶芸とリサイクルの問題について教えています。
 リサイクルの面からみれば、陶芸はゴミを生み出しているようなものでもあります。もの作りを教えるには気持のノリがたいせつです。環境を考えてみると、作ろうという意欲が生まれないし、ゴミを出すのはやめようか、となってしまいます。
 しかし、生きていかなければなりません。ゴミも出さざるをえません。生きることは壊すことと作ること、この繰り返しです。

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 ものを作るとき、ひとはわがままになります。作ることは夢を膨らませなくてはなりません。それと環境を考えることとは、少し違いますね。ですから、器制作のときはそれに熱中し、それとは別の次元でしっかり環境のことを考えねばなりません。環境の問題を教えたり考えたりすることと、ものをつくることの間にはギャップがありますね。そのあたりをうまく問題整理しなければなりません。

再生

 再生ということばがあります。ここにはふたつの意味があるかと思います。
 ひとつは、再び生まれ変わるということです。もっといいものにして再び生まれ変わらせることです。
 もうひとつは、同じものを再び生産するということ。これは工場などで機械で大量生産するパターンです。

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▲工房には廃棄場から運んだ石でレイアウトした庭もある

 陶工、陶芸作家にとっては、土は材料、資源です。資源が枯渇したら、陶芸はできません。土を資源と考えれば焼きものも変わらざるをえないと思っています。循環型にして土も再生できるようにしなければなりません。となると、大量生産でたくさん製品を作るのではなく、ひとつひとつを心をこめて作り、使うほうも心をこめて使う。そんなふうに変わっていかなくてはならないのではないでしょうか。

“焼き”で決まる

 “一焼き、二土、三細工”ということばがあります。一に焼き方、二に材料である土、三に技術である細工、これが陶芸のポイントです。
 最後の工程である焼き、ここですべてが決まります。火を入れるのはいつでもいいのですが、焼いている火を止めるときの1、2分がいちばんだいじなのです。この1、2分の間での決断にかかっています。
 自分で決めるしかありません。その決断にかかっています。ですから、たとえば電話が入ったからこれで消そうとか、つい他人のせいにしたくなるほどです。それくらいの葛藤があります。その決断で焼き物が決まってしまうからです。

 火を止める時間についてはデータがありません。1200度で30時間、または35時間とも言いますが、それからすぐなのか、それから10秒くらいあとかなど、きっちりしたデータがあるわけではありません。
 窯の中に入れるものによっても、火の走り方が違います。失敗をたくさんして判断のコツをつかむようになります。ですから、同じものはなかなかできません。

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 二の土や釉薬などの材料の性格を知ることもたいせつです。
 三の細工とは技術です。手作りでは、土を生き返らせることがたいせつです。練り直しです。焼き物にとって空気は天敵ですが、あえて練って空気を入れて土を生き返らせます。堅さをそろえたり、土を混ぜあわせることを粗練りと言います。そのあと、菊練りをして土を均一にして空気を出します。
 こうしたプロセスを手で行うからこそ、土もふんわりします。私のところではこうしたことをすべて手でやっています。

(つづく)

小木曽教彦さん (全3回)

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