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スローライフインタビュー
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伊東ゆかりさん (歌手)
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★新春特別インタビュー★

“60カラットの輝き”で愛の歌を


第4回私が変わった「あのとき」




お父さんたち、元気出して!


 今の日本、大事なものを忘れてきちゃったようで、なんとなく不安ではありますね。
 昔は、地域では決まりごと以外のなにかがありました。あのころは、子どもが一人で遊んでいても、近所の人たちが目をかけてくれていました。夕方、一人で遊んでいれば、「信子ちゃん(伊東さんの本名)、そろそろ帰りなさい」とか。
 あのころは地域全体が子どもをごく自然に守っていた時代ですね。心のつながりがあったと思います。


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 いじめにしても、たしかに昔もありましたけど、今は少し違ってきましたね。
 私は子どものときから歌う仕事をしていて、ちょっと特殊でした。余所の親が子どもに、「あの子と付きあってはいけない」なんて言っていたこともあったようです。でも先生が相談にのってくれました。先生が私のことをちゃんとかばってくれましたよね。
 先生がいじめに加わる今の社会はちょっと信じられませんね。

=地方の街に活気がなくなっているように感じることもあります。

 そうですね。各地のお店もシャッター下ろしたりして、元気ないのかな。でも、コンサートに来られる方は、皆さん元気ですよ。そういう人たちを見ているかぎりでは、とても元気です。女性が多いですけど。

=定年を迎えても、気分を新たにして地域で活躍できるといいですね。



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▲炎天下、山古志で汗をかきながら草取り

 そうですね、お父さんにもっとがんばってほしい。
 どちらかというと、男の人がちょっと元気ないですね。お父さんが疲れていますね。連れあいのいらっしゃる方なら、お父さんはもっとお母さんを頼ってみたらと思います。
 プライドを捨てきれないお父さんもいますけど、せっかく肩の荷が下りたのですから、これまで肩をとんがらせてきたけれど、これからは肩を丸めてみてはどうでしょうね。
 お母さんに付いてちょっと出かけるとか。

=そうですね、ゆかりさんのコンサートに行くとか。

 そうそう(笑)。いい音を聴きに来て欲しいですね。それがロックのコンサートでもなんでもいいじゃないですか。


歌うのが楽しくなった日

 じつは私、歌うことがほんとうに楽しく感じられるようになったのは、ここ数年前からなんです。

=えっ、そうですか。以前は歌うのがあまり楽しくはなかったのですか?



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▲関西公演のあと新幹線の待合室での「三人娘」

 そうですね。今は自分のフィーリングのままに生きていますし、物怖じしないでしゃべれるようになりましたけど、それはここ数年のことなんです。歌うことが楽しくなったのは、わりに最近のことなんです。

 客船「飛鳥」に乗ってホノルルから東京までの旅を楽しむ10日間ぐらいのクルーズがあります。それに同伴して歌うお仕事をしています。始めたのは5年くらい前のときでしょうか。
 中尾ミエさんと一緒の仕事でしたけど、最初は乗船するのがとてもいやでした。
 船ですから、回りは海。逃げ道はありません。客船内という同じ空間で、お客さんと10日間ほど過ごすわけです。ミエさんから「船室から一歩外へ出たら、ちゃんと付けマツゲを付けて」なんて言われて、とにかく気楽に過ごせない気がして憂鬱でした。

 でも、グランドスパ(船内の大きな風呂)に入るときは、お化粧なんてしていられませんよね。最初はなるべく人が少ないとき、下向いて目立たないように入っていました。でも横にいる人から「あれ、伊東さん?」なんて言われて……。
 はじめはこそこそしていましたが、もうだんだん開き直ることに切替えました。
 なんだかそのころから、自分がとっても変わったようです。ドレスの先生からも「伊東さん、すごく明るくなったわね」って言われて。歌うのがとても楽しくなりました。
 そのクルーズでのお仕事のお陰で、人が全然変わったようです(笑)。


いやいやでも一歩を踏み出してみる

 それからはジャズクラブでも歌うようになりました。それまではジャズクラブで歌うなんて信じられませんでした。だってクラブって目と鼻の先にお客さんがいますね。以前だったらそんなところでは歌えませんでした。鼻の穴まで見られるのなんて、いやだって思ってました。でも、いいやって開き直ることにしました。今では人の間近で歌うことに抵抗がありませんし、台本と違う進行になっても流れに任せればいい、って思えるようになりました。物怖じしなくなったんですね。
 そのときから、自分が変わりました。

 私自身にそんな体験がありましたから、とにかく自分の頭の中で思いこんでいないで、人に誘われたら、いやいやでもとにかくそれに乗ってみるのがいいですね。
 誘われたらいやでも受けてみれば、新しい発見があるものです。いくら歳をとっても、自分が変わるって楽しいものです。
 

 10年ほど前から、自分が変わりたい変わりたって思ってはいました。そんな想いがずっとあったんですね。でも、その一歩がなかなか踏み出せませんでしたが、いやだったけれどやむなく関わった客船クルーズの仕事を通じて、なんとかその一歩を踏み出すことができました。


私には歌しかない!


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=前回伊東さんは定年は自分で決めるっておっしゃってましたが、いくつまで歌うおつもりですか。

 じつは歌を歌えなかったときがあるんです。一時、風邪をこじらせて声が出なくなってしまいました。そのとき、歌手以外に何か仕事がないかなと思って新聞の求人欄を眺めたことがあります。でも、歌以外に何もできない自分がそこにいました(笑)。
 自分には歌しかないなって、しみじみ思って……。そこでふっきれましたね。

 私は小さいときから歌ってますから、歌うことがあたりまえ。忙しいときも、あるいはテニスやスキーをしたりしながらでも、今は楽しみながら歌っています。


声が出るかぎり歌いつづけたい

 せっかく楽しみながら歌うことができるようになったのですから、声が出るかぎりは歌いたいですね。
 老人ホームでもいいんです。たとえ仕事でなくても、歌えるかぎりは歌いたい。
 もし私が認知症になったりアルツハイマーになっても、歌だけは忘れないような気がします。「あのおばあちゃん、マイクを持って歌うときだけは目がキラキラしているわね、昔歌手だったらしいよ」って人に言われたりするかもしれない。それもいいかな、と。そんな自分を想像して、ちょっとにやにやしています。



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▲4月(2007年)には「60カラットの愛の歌」と題したメモリアル・コンサートを東京で予定している

=ちなみに伊東さんはどんな歌が好きなのですか。

 自分の歌では……とくに好きな歌はありません。だって聞けば、「ああ、ここはこうしたほうがよかったなあ」と思いますから。ですから自分の歌は聴きません(笑)。
 他の人の歌では、江利チエミさんの「テネシーワルツ」や、松尾和子さんの「再会」「誰よりも君を愛す」も好きですね。「再会」は舞台でも歌ったことがあります。さだまさしさんの「無縁坂」も好きです。
 誕生月の4月には、「60カラットの愛の歌」と題してメモリアル・コンサートを東京で2日間に渡って開きます。これからもずっとずっと歌いつづけるつもりです。

=ご活躍、楽しみにしています。お話、ありがとうございます。



(終わり)

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