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人生後半 心と体の健康術
著者 沼田 明
プロフィール

第2期 第51回

人間を活かす源・酸素の濃度が下がってきた

~呼吸と酸素の健康法(1)~

当初酸素は有害だった?

 私たちは酸素なくしては10分と生きられません。試しに呼吸を止めてみればわかりますが、30秒もすれば苦しく感じ、普通なら1分位で苦しくて息を止められなくなります。
 それでも息を止めていて、もうこれ以上苦しくて耐えられないとなり、息を吸ったときには、「なんて空気は美味しいのだろう」と感じるはずです。食料よりも水よりも、圧倒的に私たちを生かす源になっているのは酸素です。
 宇宙でも酸素は非常に多い元素と考えられています。しかし酸素は、酸化という言葉があって、鉄錆びは鉄が酸化したものであるように、物質と激しく反応し、場合によっては物質を壊しかねません。実際に大昔の生物にとって酸素は有害な毒であったと考えられています。
 原初の地球表面には海はなかったのですが、火山活動などで、地球内部から酸化物に混じっていた酸素が地球表面に出てきたため、大気中の水素と反応して水が発生し、地球表面に雨が降り塩分を溶かしていったので海になりました。
 その後、海の水は蒸発したり南・北極の氷になっているので、生命が発生した頃より今の海は塩分が濃くなっています。余談ですが、生命の体内環境はもともと生命が誕生した海の条件に似ているとしたら、今の海の塩分濃度は濃すぎますが、このような理由で、原初の海より濃くなっているのです。

酸素を使う動物の誕生

 その海の中で生命は誕生しましたが、最初は生命にとって酸素は反応性が強すぎたために害はあっても、利点はないという状態でした。しかし海の中では、それほど酸素濃度が高くないので、とくに問題はなかったのです。
 ところが、植物ができて光合成をするようになると、大気中の二酸化炭素を分解し酸素を出すようになったので、大気中の酸素濃度がどんどん高くなりました。当然海中でも海草が光合成を行うので、酸素が溶けてきましたが、大気中と比べれば酸素濃度は圧倒的に低いので、細胞障害が起こらない状況でした。
 しかし、ある種類の原生動物が酸素を使うことで、圧倒的に大きなエネルギ-を出すシステムを持ちました。多分これが今私たちの細胞内にあるミトコンドリアと考えられています。従って私たちの細胞内にあるミトコンドリアは、じつは外来生物である可能性も否定できないのです。
 動物はミトコンドリアを持つことで大きなエネルギ-を出せるようになり、動きも速くなったために、酸素によって障害を受ける動物は淘汰されていきました。
 そして、肺を持ち陸上でも生きられる動物が生まれ、今にいたっています。

勝負の分かれ目は10分以内

 私たち陸上の動物は肺呼吸をして血液中に酸素を溶かして運ぶほかに、赤血球に酸素を結合させて末梢の組織まで運びます。酸素によって物質を酸化させることで細胞が生きていく上でのエネルギ-を取り出しています。エネルギ-はATPという化学物質の形でないと使えません。つまりミトコンドリアは、このATPを作る工場なのです。
 ATPは細胞を維持するためにすぐ使われてしまうので、ほとんどの細胞は酸素とブドウ糖が供給されなくなるとすぐに壊れ始めます。低酸素にもっとも弱い細胞は脳細胞で、酸素供給が絶たれると、10分で不可逆的変化を起こします。つまり、細胞が死んでしまうので、救命では呼吸が止まったら、いかにして10分以内に酸素を取り入れさせて循環させるか、それが勝負の分かれ目になります。

 このように、酸素は私たちが生きていく上でなくてはならない大切なものですが、最近、大気の酸素濃度が下がってきているのを皆さんはご存知でしょうか?
 また森林や海上と比較しても、都市の酸素濃度は下がっているのです。
 江戸時代は酸素濃度が29%くらいあったと考えられています。また、昭和30年代でも26%はあったと考えられています。また私が理科で習った酸素濃度も22%でした。いまは都内では20.6%位です(最近代謝の装置を使うので実測していますが、こんなものです)。江戸時代と比べると、いまの都会は低酸素状態と言えるほどです。
 従って、現在のほうが酸素の取り入れについてよく学ぶ必要があるのです。

(以下次号)

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