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第103回 週刊文春の「箱根温泉スクープ」にもの申す
○火山性の豊かな泉源地帯では逆に温泉噴気・蒸気が噴出!
先月後半だったか、「週刊文春」の新聞広告に「スクープ! 箱根の温泉(の何割か)は人工温泉だった!」という見出しが踊っていました。3年前の温泉虚偽表示騒動の再来か?と思わせぶりなタイトルに、「でも、箱根ではあり得ないなあ」といぶかりつつ記事を読んでみました。結論! とんでもない勘違いでした。
記事の要旨は、「箱根では、大涌谷(おおわくだに)などで噴出する噴気・蒸気に水を加えて温泉水を造成し、多くの宿に配湯している。これは(温泉とは似て非なるマガイモノの)人工温泉だ。しかもそのことを宿が表示していないのはけしからん!」というものです。「ああ、またか! こういう人間の傲慢さと温泉への無知ゆえの思い違いをする輩は!」と私は正直、義憤にかられています。
箱根でいえば大涌谷や湯の花沢、早雲山、全国では九州の霧島山、別府、雲仙、宮城県の鳴子・鬼首(おにこうべ)温泉郷、秋田県八幡平といった高温の水蒸気や噴気が噴出しているいわゆる地獄地帯は、温泉の最大の産みの母たる活発な火山活動を典型的に示す、わが国を代表する貴重な温泉泉源地帯です。この高温ゆえの温泉水蒸気、あるいは溶岩地帯の地下に水(温泉水のもととなる水はほとんど雨水)だまりが乏しいゆえに、加水希釈されて温泉水とならずに噴気ガス状態で噴出するわけですが、その組成の9割以上は水分で、温泉成分がたっぷり濃縮されています。つまり噴気ガスや水蒸気は温泉の天然エキス! 入浴剤みたいな人工加工物と同列に思い込むこと自体、科学的に間違っています。
○温泉噴気・蒸気に雨水を加えて×なら極上の川湯、海中温泉も×
箱根大涌谷や湯の花沢では、雨が降ったときに生じる湯川に浸れた一方、噴気・蒸気に水を注いで温泉水を造成してきました。その成分はなお濃く、湯の香も色も絶品。箱根では明治時代から行われ、いま発覚したみたいに「スクープ!」なんていうのはとんでもない。現在は専用のワタリ水源池にためた天水を使用しています。
人間は温泉エキスが濃縮した蒸気や噴気をそのまま利用したくても、やけどして死にかねません。所詮人は摂氏30~40度台の温泉水に希釈しないと入浴利用できない、弱い生き物です。それで温泉造成を考案したもので、長い温泉利用史における知恵でした。
湧き出る熱い源泉や噴気状態のエキスに水を加えれば、「人工温泉」みたいに決めつけますが、それなら極上の温泉で垂涎の的の和歌山県川湯温泉や群馬県尻焼温泉の「川湯」や北海道、九州、伊豆諸島に多い海中露天風呂は川の水や海水で加水冷却されて初めて入浴が楽しめるのですが、すべてマガイモノの人工温泉になってしまいます。
| <温泉データ> | |
| ◎湯の花沢温泉 | |
| [住所] | 神奈川県箱根町湯の花高原 |
| [行き方] | 箱根湯本・強羅方面から東芦之湯バス停下車後、徒歩15分。送迎あり |
| [泉質と泉温] | 硫化水素泉。52度 |
















