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第119回 今熱い中国の温泉文化事情
○混浴なしハダカでリラックス
北京オリンピック開幕で、中国情報があふれていますが、入浴・温泉事情についてはどうでしょうか。中国人はあまり入浴しないんじゃないかとか、温泉なんてあるの?と思う向きも少なくないようですが、じつはそうではありません。
以前(1999年)に名優・朱旭(チュウ・シュイ)さんが主演した中国映画『こころの湯』(原題は「洗澡/SHOWER」)は、都市再開発という名のもと由緒ある街並みや旧い建物が取り壊されてゆく北京の下町の公衆浴場を舞台に、ほのぼの人情ドラマを通じて中国の都市の入浴文化がよく描かれていました。
町のお風呂屋さん、公衆浴場が庶民の憩いと交流の場となっている様子、男女別に分かれた浴槽にすっぱだかで深々と入浴して“湯ったり”リラックスする様はまったく日本と(東ヨーロッパやイスラム圏とも)変わりません。舞台となった公衆浴場は家族経営ですが、浴室も広く、浴客にはゆかしくお茶がふるまわれ、あかすりや中国特有の吸い玉施術も用意されています。浴後は愛玩のこおろぎを闘わせたり、将棋を指したり、日本の銭湯以上の規模です。
これより800年前、中国伝統文化が爛熟した南宋の首都・杭州にヴェネチアから旅して来たマルコ・ポーロは、「浴場が3000軒あり、1軒で一度に100人が入浴できた」「若い男や女の浴場掛の召使が大勢控えていて、男女を問わず客が入るとその沐浴の世話をした」「(人々は)いつも入浴する習慣がついているので、体を洗わずに食事する気になれなかった」と報告しています(『マルコ・ポーロ旅行記』)。
○3000ヵ所を超える温泉大国
そうはいっても広大で一つにまとめきれない中国のこと。入浴文化にも地域風土差がありました。杭州がある、温暖多湿で水に恵まれた長江(揚子江)の南、中国東部や華南地方はとくに入浴文化が発達していたようです。
それでは温泉は? 日本温泉地域学会会長の山村順次千葉大学名誉教授の世界の温泉分布図(『世界の温泉地』)によると、カリフォルニア、アリューシャン列島、日本、台湾、インドネシアなど環太平洋造山帯に沿った地域だけでなく、中国大陸にも温泉資源が密集しています。事実、中国の温泉地は3000ヵ所を超えるそうです。まさに温泉大国ですが、近年の消費者ニーズ拡大から日本の温泉開発と施設にならい、本来降雨量も温泉も少なかった北京周辺にも大深度掘削による大型温泉施設が目白押し。お互いこんな“大国”ぶりは真似しあわないほうがよいのですが……。

私が訪れた限られた温泉の中で絶景抜群は、世界遺産の黄山(ホワンシャン)麓に湧く黄山温泉でしょう。ただ、昔の素朴な温泉施設は再開発に。最近の様子はインターネットでもつかめませんでした。もしご存じの方があれば……。


| <温泉データ> | |
| ◎黄山温泉 | |
| [住所] | 中国・安徽省黄山市 |
| [行き方] | 上海から黄山(屯渓)空港まで約45分。空港から温泉区までタクシー約1時間20分。 |
| [泉質と泉温] | 単純温泉か重炭酸土類泉。約42度 |
















